独身顆族

蓮っ葉な姉さん、かっこいいっす・・・!ってでんぐり返ししながら私に言って下さい。

春先輩に誘われる

近頃、先輩によく誘われるんだ。春の陽気のせいかな。

 

 

 

この前は映画館行ったんだ。先輩はポップコーンばっか食って映画の内容なんてまるで頭に入ってなかったみたい。キャラメルの匂いが周囲に漂うよ。

 

 

 

帰り道、こけて膝を擦りむいたんだ。先輩、ばんそうこう持ってたみたい。やさしく貼ってくれた。春風が私たちを包み込む。

 

 

お別れの後、私はふと考えた。明日もこの気持ちが続くといいな、って。これが幸福だ、って。

 

 

 

しばらく先輩の誘いは続いた。今度は遊園地へ行くんだって。着ぐるみに嬉しそうに抱き着く先輩。私、着ぐるみは苦手なんだよ。春の日差しが目に痛い。

 

 

休憩中、アイスクリームを頬張る二人。先輩は急いで食べ終わってしまった。バニラの甘さが胸に染み入る。

 

 

私は遊園地にお別れをする。たくさんの入場客を背に、キラキラした感情にもさよならを告げる。

 

 

先輩、今度は図書館だよ。俺、本なんて読まないんだよ、なんて言わないでね。これ、おすすめなんだよ。訝しい顔をして先輩は本を読む。なんて可愛いのだろう。

 

 

結局私は先輩に付きっ切りで自分の読みたい本なんてちっとも読まなかった。これでいいんだ、愛してるから。

 

 

私は彼との思い出を愛している。明日も、明後日も。1年後も、2年後も。毎年春になると、彼との思い出を胸に外出する。

 

 

先輩はちょっと危なっかしい人。私は彼を守るために生まれてきたの。姿を消したって、どこかに行ってしまったって、私は守るわ。返事がなくたっていい、愛しているから。

 

 

 

私は静かに先輩の誘いを待つ。ねぇねぇみんな、今日も先輩に誘われたんだ。

私はニコニコ顔で外へ出る。幸福でいっぱいの胸を抱えながら。